日本小児循環器学会雑誌  第24巻 第4号(538-545) 2008年

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著者

黒嵜 健一1),北野 正尚1),渡辺  健1),宮崎  文1),矢崎  諭1),津田 悦子1),大内 秀雄1),山田  修1),大月 審一2),越後 茂之1)

所属

国立循環器病センター小児循環器診療部1),岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児医科学講座2)

要旨

目的:高速インターネット回線を用いた高精細動画像リアルタイム転送システムによる新生児心エコー遠隔診断を施行し,その有用性を検討した.
方法:近隣市の新生児集中治療室で先天性心疾患を疑い,国立循環器病センターに心エコー遠隔診断を依頼した新生児を対象とした.高速インターネット回線はOCN光アクセスBフレッツを用い,高精細リアルタイム動画転送にはALOKA社製SSD-α10 REINS Gateエコーシステムを用いた.
結果:2007年 1~5 月の間に 8 例の新生児心エコー遠隔診断を施行した.伝送動画像は精細かつスムーズ,10分程度でほぼ正確な診断が可能であった.全例が先天性心奇形を有していると遠隔診断し,うち 2 例には専門的治療と手術のために緊急搬送を勧告した.ほかの 6 例にも有意な心奇形のため待期的搬送を勧告した.全例ともに,その後の直接診察で遠隔診断は正確であったと評価した.
結論:高速インターネット回線を用いたリアルタイム新生児心エコー遠隔診断は正確で有用である.

平成19年12月17日受付
平成20年4月16日受理

キーワード

tele-echocardiography,tele-diagnosis,internet,neonate,congenital heart defect

別冊請求先

別刷請求先:〒565-8565 大阪府吹田市藤白台5-7-1
国立循環器病センター小児循環器診療部 黒嵜 健一