日本小児循環器学会雑誌  第25巻 第1号(34-38) 2009年

全文PDF

著者

小澤 秀登1),西垣 恭一1),川平 洋一1),村上 洋介2),江原 英治2),鈴木 嗣敏2),小澤 有希2),保田 典子2)

所属

大阪市立総合医療センター小児心臓血管外科1),小児循環器内科2)

要旨

背景:完全型房室中隔欠損(complete atrio-ventricular septal defect:CAVSD)に対する心内修復術は,比較的浅めの心室中隔欠損(ventricular septal defect:VSD)を有する症例ではVSDを直接閉鎖することが可能なことがあり,この場合,心内修復を簡素にできる.しかし,本術式の術後の中期遠隔期成績についての報告は少ない.
方法:VSD直接閉鎖によって,CAVSD修復を施行した症例の中期遠隔期成績を検討した.
対象および手術:2000年 4 月以降に,VSD直接閉鎖によるCAVSD修復術を施行したのは 6 例.手術時月齢は平均6.3 ±3.3カ月,体重は平均5.3 ±1.2kgであった.経過観察期間は最長 7 年 2 カ月,平均 4 年 6 カ月である.
結果:術後早期および遠隔期の死亡は認めず.VSDの深さは平均5.8 ±1.9mmであった.大動脈遮断時間は平均44 ±14分,体外循環時間は平均86 ±24分であった.術後心エコー検査では,経過中にmoderate以上の房室弁逆流や,心室中隔交通の遺残,左室流出路狭窄を認めなかった.
結論:VSD孔の浅い症例においては,VSD直接閉鎖によるCAVSD修復術は,房室弁の機能を維持しながら手術手技を簡素化でき,有用な術式であると考えられる.

平成20年4月11日受付
平成20年10月15日受理

キーワード

congenital heart deisease,complete atrio-ventricular septal defect,ventricular septal defect direct closure

別冊請求先

〒534-0021 大阪市都島区都島本通 2-13-22 大阪市立総合医療センター小児心臓血管外科 西垣 恭一