日本小児循環器学会雑誌  第24巻 第1号(11-16) 2008年

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著者

西川 浩,久保田 勤也,大橋 直樹,松島 正氣

所属

社会保険中京病院小児循環器科

要旨

背景:バルーン大動脈弁形成術(balloon aortic valvuloplasty:BAV)では左室駆出によりバルーン拡張中の位置ズレを起こすため,バルーン位の安定のためにさまざまな手法が試みられている.
目的:当院での大腿動脈アプローチ法での変遷につき検討し,現況を報告すること.
対象:当施設におけるBAV例のうち,総頸アプローチ法を除き,後方視的検討が可能な 7 例11回につき検討した.
結果:1)ショートシース + シングルバルーン(3 回),2)体静脈バルーン閉鎖 + ショートシース + シングルバルーン(1 回),3)ショートシース + ダブルバルーン(2 回),4)既成ロングシース(3 回;うち 1 例はダブル),5)J 型成型ロングシース(2 回)と変遷した.1)~3)では拡張中に弁位で安定せず.4)以降,バルーン位は安定したが,シースが大動脈弓部でkinkし,バルーン再挿入を困難にする例があった.最近は 5)の体格に合わせて J 型に成型したロングシースを用いた手法により安定した形成術を行えた.
考察:J 型成型ロングシースは大動脈弓の大弯側に合わせたものを使用し,拡張中のバルーン移動を抑えることが可能であった.
結語:J 型成型ロングシースの使用は 1)バルーン移動の抑制と 2)弓部でのkink回避を可能とした安全な方法と思われた.

平成18年12月20日受付
平成19年10月4日受理

キーワード

aortic stenosis,balloon aortic valvuloplasty,J-shaped long sheath,retrograde approach via a femoral artery

別冊請求先

〒457-8510 名古屋市南区三条 1-1-10
社会保険中京病院小児循環器科 西川 浩