日本小児循環器学会雑誌 第24巻 第1号(17-22) 2008年
著者
鈴木 博1,2),Xuejun Wu2),Earl D Silverman3),Robert M Hamilton2)
所属
新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座小児科学分野1)
トロント小児病院循環器科2),リウマチ科3)
要旨
背景:先天性完全房室ブロック(congenital heart block:CHB)と母由来の自己抗体との関連が知られている.患児の母の血清がランゲンドルフ心の房室伝導を急性に抑制することが示され,母体抗体による急性房室伝導抑制がCHBの引き金と推察されている.
方法:新生仔ウサギランゲンドルフ心にさまざまなヒト血清を灌流させてWenckebach cycle length(WBCL)を測定し,房室伝導に与える影響を定量的に評価,比較する.第 1 の実験では 1)抗Ro,抗 La抗体陽性でCHB児の母,2)抗Ro,抗La抗体陽性だがCHB児をもたない母,3)抗Ro,抗La抗体陰性の自己免疫疾患患者,4)健常者,の血清を比較した.第 2 の実験ではCHB児の臍帯血清とその母の血清を,それぞれIgG成分とそれ以外の成分に分けて比較した.
結果:第 1 の実験ではCHB児の母の血清のみがWBCLを有意に延長させた.第 2 の実験では母のIgG成分がWBCLを最も延長させ,臍帯と母ともにIgG成分だけでなく,IgG以外の成分でもWBCLを延長させた.
平成19年1月23日受付
平成19年10月4日受理
キーワード
congenital heart block,autoantibody,neonatal lupus,atrioventricular block
別冊請求先
〒951-8510 新潟市旭町通 1-757
新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座小児科学分野 鈴木 博