日本小児循環器学会雑誌  第24巻 第4号(546-554) 2008年

全文PDF

著者

鈴木恵美子1),大嶋 義博1),土肥 善郎1),大高 慎吾1),橋本 郁夫2),市田 蕗子2),宮脇 利男2),三崎 拓郎1)

所属

富山大学医学部第一外科1),小児科2)

要旨

従来,13および18トリソミーの合併心奇形に対する外科治療は適応外とされてきたため,その治療効果はいまだ明らかにされていない.家族の強い希望により開心術が選択されたNN13トリソミーの 1 例と18トリソミーの 3 例を経験したので報告する.心内修復が行われた13トリソミーの 1 例と18トリソミーの 2 例の計 3 例のうち,2 例は現在,在宅療養中で,ほかの 1 例は術後 4 カ月目に病院死した.また,体外循環下に姑息術が行われた症例は,現在,在宅療養へ向け準備中である.生存例では手術により延命と臨床症状の改善が得られている.死亡症例でも,短期間ではあったが,家族が患児と共有する十分な時間が得られた.児と家族の生活の質(QOL)の改善のためには,姑息術のみでなく心内修復を含めた外科治療も,有効であると考えられた.

平成19年6月11日受付
平成20年2月12日受理

キーワード

trisomy 13,trisomy 18,congenital heart disease,open-heart surgery

別冊請求先

:〒990-2292 山形市大字青柳1800
山形県立中央病院小児科 鈴木恵美子