日本小児循環器学会雑誌  第24巻 第5号(640-646) 2008年

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著者

梶山 葉,中村 好秀,豊原 啓子,福原 仁雄,芳本 潤

所属

日本赤十字社和歌山医療センター心臓小児科

要旨

左房側に不整脈基質(substrate)が存在し心室側からの逆行性アプローチが困難な症例におけるカテーテルアブレーション治療では心房中隔穿刺術を行い,右房から左房へカテーテル挿入し施術する.しかし,先天性心疾患症例で心房中隔形態が特異な場合は,通常の心房造影と経食道エコーを用いた心房中隔穿刺術の手法のみでは困難なことがある.
 今回われわれは不整脈基質が左房側にあることが予想された先天性心疾患を有する 2 症例(Senning手術後 1 例,房室錯位 1 例)に対し,アブレーション手術前に心臓造影MDCT撮影を行い,心房中隔形態を評価し心房中隔穿刺術のシミュレーションを行った.その後,術中全身麻酔下に経食道エコーを用いてカテーテルを誘導しシミュレーションに沿った穿刺術を合併症なく施行することができた.正常と異なる心房中隔形態での穿刺術において,心臓造影MDCTと経食道エコーとの併用が有用であった.

平成19年9月10日受付
平成20年4月28日受理

キーワード

multi–detector CT,transesophageal echocardiography,transseptal catheter ablation,congenital heart disease,Senning

別冊請求先

:〒640-8558 和歌山市小松原通 4-20
日本赤十字社和歌山医療センター心臓小児科 中村 好秀