日本小児循環器学会雑誌 第24巻 第6号(714-720) 2008年
著者
勝又 庸行1,2),鈴木 淳子2),武村 濃3),北爪 勉2)
所属
山梨大学医学部小児科1),東京逓信病院小児科2),放射線科3)
要旨
目的:先天性冠動脈奇形の診断と経過観察においてmagnetic resonance coronary angiography(MRCA)とmagnetic resonance(MR)心筋造影の有用性を検討した.
方法:使用装置はGyroscan Intera 1.5T Master R9(Philips社製)で自然呼吸下に,MRCAで冠動脈の形状や走行を,MR心筋造影で心筋虚血と心筋病変を評価した.
対象:対象は心エコー検査または冠動脈造影検査(coronary angiography:CAG)で起始異常が疑われた 5 例(右冠動脈左冠動脈洞起始 3 例,左冠動脈右冠動脈洞起始 1 例,左冠動脈高位起始 1 例)および左冠動脈主幹部閉塞 1 例と冠動静脈瘻 2 例の計 8 例で,検査時年齢は 8 カ月~31歳(中央値 5 歳 4 カ月)であった.
結果:MRCAはCAGに比し,起始異常の冠動脈と大血管との位置関係が明瞭に描出され,閉塞血管組織の有無の評価も可能であった.さらに心筋造影では虚血(4 例)や心内膜下梗塞(1 例)を検出し,心筋viabilityの評価も可能であった.
結論:先天性冠動脈奇形においてMRI(magnetic resonance imaging)は診断と経過観察に有用と考えられた.
平成19年10月2日受付
平成20年7月14日受理
キーワード
magnetic resonance imaging ,coronary angiography,myocardial imaging ,anomalous coronary arteries
別冊請求先
〒409-3898 山梨県中央市下河東1110 山梨大学医学部小児科 勝又 庸行