日本小児循環器学会雑誌 第24巻 第6号(721-726) 2008年
著者
前田 潤,石井 智弘,古道 一樹,林 拓也,潟山 亮平,玉目 琢也,福島 裕之,山岸 敬幸
所属
慶應義塾大学医学部小児科
要旨
動悸,易疲労性を主訴に受診し,Graves病と診断された成人先天性心疾患女性を 2 症例(修正大血管転位 1 例,大動脈弁狭窄兼閉鎖不全 1 例)経験した.2 例とも頻脈,浮腫,血漿脳性ナトリウム利尿性ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)上昇があり,基礎心疾患による心不全との鑑別を要した.抗甲状腺薬と同時に,β1選択的遮断薬bisoprolol fumarate(Maintate®:bisoprolol)を併用し,症状,BNP値の改善を得た.Graves病を合併した成人先天性心疾患において,bisoprololは頻脈改善に有効であり,早期導入により血行動態の悪化を予防できる.
平成19年12月13日受付
平成20年7月16日受理
キーワード
Graves’ disease,adult congenital heart disease,tachycardia,bisoprolol
別冊請求先
〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部小児科 前田 潤