日本小児循環器学会雑誌  第25巻 第2号(161-164) 2009年

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著者

渡邊 一正1),小出 昌秋1),國井 佳文1),梅原 伸大1),杉浦 唯久1),武田  紹2),中嶌 八隅2)

所属

聖隷浜松病院心臓血管外科1),小児循環器科2)

要旨

症例は 6 カ月,男児.出生後からチアノーゼ指摘され心エコー,心臓カテーテル検査で総動脈幹症(I 型),部分肺静脈還流異常と診断された.日齢 8 で肺動脈絞扼術を行い,今回根治手術を施行した.根治手術はRastelli手術と部分肺静脈還流異常修復を行った.部分肺静脈還流異常は左上肺静脈の一部を左心耳に吻合した.術中に右中下肺静脈が右房に還流していることがわかり心房内reroutingを追加した.術後経過も問題なく良好な結果が得られた.総動脈幹症に肺静脈還流異常が合併することは非常にまれである.総動脈幹症に心内合併奇形を有する症例では新生児期に一期的根治手術を行うことは侵襲も大きくリスクが高いと考え,今回われわれは二期的治療戦略を選択した.文献的考察を含め今回の症例を検討した.

平成20年6月12日受付
平成21年1月27日受理

キーワード

truncus arteriosus communis,partial anomalous pulmonary venous return,Rastelli operation

別冊請求先

〒430-8558 浜松市中区住吉 2-12-12
聖隷浜松病院心臓血管外科 渡邊 一正