日本小児循環器学会雑誌 第26巻 第2号(125-130) 2010年
著者
後藤 彰子
所属
神奈川県立こども医療センター
要旨
胎児診断においては,最初にどのような告知がなされたかが大切となる.それは,最初の告知が出生後の親子関係を大きく歪ませることも少なくないからである.告知する側は,(1)事実を伝えたい,(2)家族に診断を理解してもらい,始まる治療をスムーズに進めたい,(3)診断できたことは,good luckである,と考えているのに対し,告知される家族には,(1)いまだ見ぬ子どもに病気があると言われる,(2)今やれることはなく,生後の治療は命にかかわる手術が必要かもしれない,(3)のちに障害が残るかもしれない,というように,すべてがbad newsである.そこで,伝える側にはbad newsを伝えているという自覚を常に持つことが求められる.医師,看護師以外の医療職である中立的立場のソーシャルワーカー,保健師,臨床心理士などによるサポートは現実的に必要欠くべからざる存在となっている.彼らの役割は,医療情報を補完し,家族のありのままを理解し,家族の重荷を軽減し,家族が時間を経て事実を受け止める助けをすることである.
全文
キーワード
fetal diagnosis,family support,co-ordinator,bereavement care
別冊請求先
〒232-8555 横浜市南区六ツ川2-138-4 神奈川県立こども医療センター 後藤 彰子