日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第2号(132-139) 2010年

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著者

富松 宏文

所属

東京女子医科大学循環器小児科

要旨

心室中隔欠損(ventricular septal defect:VSD)には,発生の過程で心室中隔の融合線に沿って“隙間”として形成される単純穿孔型と,洞部中隔と漏斗部中隔が同一平面状に並ばずに立体的な段差を持って存在する“非整列型”とがある.新生児乳児期に発症する先天性心疾患のなかでは最も頻度が高いものであり,単独で存在するものだけでなく,さまざまな複合心疾患に合併することも多い.したがって,VSDの位置診断や血行動態の理解はその他の複合心疾患を理解するうえでも重要である.とりわけ心エコー法による本症の診断は非侵襲的で簡便であるため広く行われその有用性は述べるまでもない.しかし,その簡便性ゆえに基本的な診断方法や心エコー法の限界などを十分に考慮せずに診断を行うことが誤診につながり,さらにそのことにより治療の方法や時期を誤ることも経験される.ここでは単純穿孔型に限り,再度基本に戻りその心エコー診断を中心に述べた.
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キーワード

ventricular septal defect,Soto’s classification,echocardiographic diagnosis

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