日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第2号(161-167) 2010年

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著者

津田 武

所属

Alfred I. duPont小児病院循環器科,Thomas Jefferson大学医学部小児科

要旨

本稿では,米国における小児循環器科学の研修制度(フェローシップ)とそれに関連した専門医認定システムを紹介した.米国では一般小児科も専門医として位置づけられ,小児科専門医の資格(Board)を取得するためには,認定された3年の小児科プログラム(あるいは,4年間の内科・小児科プログラム)を無事修了することが必要条件となっている.小児循環器専門医となるためには,その先のさらに専門の研修プログラム(フェローシップ・プログラム)を修了する必要がある.プログラムに属する指導医教官によるフェローの成績評価方法は標準化されており,この課程が米国における卒後臨床教育の重要な構成要素になっている.専門医試験は,筆記試験で米国小児科専門医評議会(American Board of Pediatrics:ABP)により2年に1回実施される.合格者には専門医の資格(Board Certification)が与えられ,以後10年に1度の再認定の試験を受けることにより専門医資格を更新できる.米国におけるBoard Certificationは,専門医の地位と身分を保証する重要な資格で社会的にも広く認識されている.卒後臨床研修のプログラムは,第三者機関であるAccreditation Council for Graduate Medical Education(ACGME)の厳しい審査・承認の下に認定される.米国の専門医制度において重要なことは,専門医を目指すフェローとそのフェローを訓練するフェローシップ・プログラムの両方が厳格な審査の対象になっていることである.日本で新しく小児循環器医の専門医制度の導入を考える場合,日本の独自の背景を考慮することも大切であるが,小児循環器診療における国際的な標準を満たす専門医と専門医を育てる教育プログラムの両方の資格を認定できる制度を立ち上げることが望ましい.

平成21年11月10日受付
平成21年11月17日受理

キーワード

graduate medical education,fellowship training,pediatric subspecialty,board examination,and professionalism

別冊請求先

Takeshi Tsuda, MD, Staff Pediatric Cardiologist, Nemours Cardiac Center, Alfred I. duPont Hospital for Children, Wilmington, DE 19803, USA