日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第4号(290-297) 2010年

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著者

青木 雅子1),中澤 誠2),日沼 千尋1),関森みゆき1),木村千恵子3)

所属

東京女子医科大学看護学部1),総合南東北病院小児・生涯心臓疾患研究所2),聖路加看護大学大学院博士後期課程3)

要旨

目的:先天性心疾患をもつ子どもの母親に生じる,入院中の子どもの病状の理解を困難にしている状況を明らかにする.分析方法:先天性心疾患をもつ子どもの母親8名に半構造化面接を行い,インタビューデータを質的に分析した. 結果:母親には,自分自身の状態が【心臓病の知識がゼロからスタートする】【心も身体も理解する準備状態にない】ことによる困難さに加え,具体的に把握したくても【理解を助ける資料が見当たらない】【身近な子どもと比べることができない】【不確かさが多くてイメージ化できない】ことによる困難さ,事態や周囲に影響されて【表出をためらってしまう】【わからないことが打ち消される】ことによる困難さがあった. 結論:『子どもの病状を理解する困難さ』は,母親の身体心理的な準備状態の影響のみならず,知識の獲得,具体化,環境への要望と現実とのズレからも生じていた.母親が子どもの病状を理解する支援として,1)知識,身体心理的準備状態への配慮,2)説明内容やことばの補足,3)理解やイメージ化を助ける資源の提示,4)思いを表出する促し,が必要であると考えられた.

平成21年8月17日受付
平成22年2月22日受理

キーワード

congenital heart disease,mother,support,informed consent,qualitative research

別冊請求先

〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学 看護学部 青木 雅子