日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第4号(310-316) 2010年

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著者

小池 由美,安河内 聰,瀧聞 浄宏,梶村いちげ,松崎 聡,武井 黄太,里見 元義

所属

長野県立こども病院循環器科

要旨

肺動脈狭窄に対するステント拡大術の有用性が報告されているが,留置後の後拡張における狭窄病変とステント自体の拡張性についてはまだ報告が少ない.今回,肺動脈狭窄病変に対して初回ステント留置した部位の再狭窄に対して,バルーンカテーテルおよびstent-in-stentによる後拡張を施行した症例について,後拡張性と問題点について検討した.  対象は2001~2007年にステント留置後バルーン拡大またはstent-in-stentによる後拡張を行った10例で年齢は1カ月から14歳(中央値7歳),体重は8.2 kgから36.7 kg(中央値23 kg)の肺動脈12病変である.初回ステント留置から後拡張までの期間は3カ月から29カ月(平均21カ月)であった.後拡張の評価は,初回ステント留置前後と後拡張前後それぞれの最小血管径,参照血管径,ステント径,後拡張バルーン径,後拡張ステント径について血管造影より測定し,後拡張性について検討した.  結果:参照血管径は,初回ステント後から後拡張間での期間に6.6±3.2 mmから8.0±2.6 mm(119±23%)に成長していた.後拡張性については,最小血管径は後拡張により6.0±3.2 mmから8.5±2.6 mm(145±41%)に拡大することができた.ステント径は,後拡張により7.7±3.2 mmから9.5±2.6 mm(132±23%)に拡大することができた.後拡張の問題点については,8例中1例にステントの部分的破壊,1例に肺出血を認めた.ステントの迷入や脱落例はなかった.

平成21年3月16日受付
平成22年3月15日受理

キーワード

stent implantation,stent redilation,restenosis

別冊請求先

〒607-8062 京都市山科区珍事町2 洛和会音羽病院小児科 小池 由美