日本小児循環器学会雑誌  第26巻 第4号(324-327) 2010年

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著者

中田 利正

所属

青森県立中央病院小児科

要旨

背景:特発性非持続性心室頻拍(NSVT)小児例の一部にNSVT持続例,カテーテルアブレーション適応例を経験する.多形性は心室頻拍の予後不良因子とされている.NSVT小児例の転帰予測における多形性の有用性を明らかにすることを目的として自験例を検討した. 方法:対象はホルター心電図による経過観察が施行され,明らかな中等症以上の基礎心疾患のないNSVT小児22例(男性12例,女性10例)とした.これらの症例を多形性NSVT 7例と単形性NSVT 15例に分類し,臨床所見を後方視的に比較検討した.最終ホルター心電図におけるNSVT持続あるいは薬物治療抵抗性によるカテーテルアブレーション適応を転帰不良とした. 結果:22例の診断時年齢,経過観察期間の中央値は,各々,12歳9.5カ月,1年11.5カ月であった.多形性例と単形性例の比較検討所見で経過観察期間,薬物治療施行率に有意差はなかった.転帰不良例の比率は多形性例57%,単形性例7%で有意(p=0.021)に前者が高率であった. 結論:多形性NSVT小児例に難治例が多いことが示唆された.

平成21年10月28日受付
平成22年4月5日受理

キーワード

arrhythmia,ventricular tachycardia,ventricular premature contraction,outcome,polymorphism

別冊請求先

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