日本小児循環器学会雑誌 第26巻 第5号(368-374) 2010年
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著者
著者
林 憲一1,2),康井 制洋2),関根 佳織2),岩岡 亜理2),宮田 大揮2),柳 貞光2),上田 秀明2),麻生 俊英3)
所属
横須賀市立うわまち病院小児医療センター1),神奈川県立こども医療センター循環器科2),心臓血管外科3)
要旨
背景:両心室循環(biventricular circulation; BVC)を目指す純型肺動脈閉鎖(pulmonary atresia with intact ventricular septum; PAIVS)では,弁閉鎖解除後,右心室の成長を目的として様々な追加治療が行われる.
対象および方法:弁閉鎖解除後のPAIVS8例に対し,BVC到達を目指して計画的な追加バルーン肺動脈弁形成術(additional balloon pulmonary valvuloplasty; aBPV)を行った.
結果:経過観察期間(年)は9.6±4.3で,8例の総aBPV数(回)は14であった.初回のaBPVを弁閉鎖解除後36日目(中央値,14–302)に施行した.各症例におけるaBPV施行回数(回)は,平均1.8±1.2(最大値4)であった.2回以上のaBPVを要した3例では,初回aBPV後の1年間で2回目以降のすべてのaBPVを施行した.右室拡張末期容積(% of normal)は弁閉鎖解除前には平均56.0±18.5(最小値33.2)であったが,最終造影評価時には93.6±15.0と正常化した.8例全例が完全なBVCへ到達した.2例に1歳以降で追加外科手術を要した.
結論:BVCを目指すPAIVSの治療戦略において,弁閉鎖解除後に早期より計画的に行うaBPVは有用となる可能性がある.
平成21年11月2日受付
平成22年5月19日受理
キーワード
pulmonary atresia with intact ventricular septum,catheter intervention,balloon pulmonary valvuloplasty,right ventricle,biventricular circulation
別冊請求先
〒238-8567横須賀市上町2-36 横須賀市立うわまち病院小児医療センター 林 憲一