日本小児循環器学会雑誌  第27巻 第1号(2-8) 2011年

著者

村上 新1,3),北堀 和男1),高岡 哲弘1),高本 眞一2,3),,小沼 武司4),松村 剛毅4),宮田 裕章3,5),佐野 俊二3,6),,岡田 昌史7),樋口 範雄8)

要旨

本邦における先天性心疾患に対する年間手術件数は約10,000件と推計され,日齢0の新生児から成人例を含み,約200種類の疾患に対して約160種類の術式が適応されていると考えられる.おもに心臓血管外科専門医が執刀を担当し,治療成績は向上しているが,データベースは構築されて来なかった.本領域はおもに小児を対象としoutcomeが求められる領域であり,outcome analysisにとってデータベースを構築することは重要と考えられる.日本心臓血管外科手術データベース機構は先天性心臓血管外科手術データベースの構築を開始し,2008年8月からweb入力を開始した.本稿では日本先天性心臓血管外科手術データベースの進捗状況を紹介するとともに,Aristotle basic complexity score,Aristotle comprehensive scoreやRisk Adjustment in Congenital Heart Surgery Systemなどを用いたrisk-adjustmentを紹介する.
データベースは参加施設の医療の質向上をもたらし,benchmarkやaccountabilityに貢献するとともに,医療の実態を明らかにし,医師適正配置など今日的課題の解決に貢献すると期待される.

平成21年12月9日受付
平成22年9月30日受理

キーワード

Japan Congenital Cardiovascular Surgery Database,benchmark,quality improvement,accountability,pay for participation and pay for performance

別刷請求先

〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学医学部心臓外科 村上  新