日本小児循環器学会雑誌  第27巻 第2号(52-59) 2011年

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著者

吉村 道博

所属

東京慈恵会医科大学内科学講座循環器内科

要旨

心臓の概念が近年大きく変わりつつある.従来は,心臓はポンプ器官としてのみの位置づけであったが,最近では内分泌器官の1つとしても認識されている.この概念の始まりはナトリウム利尿ペプチドの発見からである.そしてその後,複数のホルモンが心臓から分泌されていることが明らかにされている.それぞれの心臓ホルモンの病態生理学的意義が現在精力的に検討されているところであるが,基礎研究の進展に伴って心不全の臨床も大きく変わりつつある.少なくとも成人における心不全の診断と治療法はナトリウム利尿ペプチドを中心に既に大きく変化しており,内分泌病学が心不全病学の発展に大きく貢献している.

平成23年1月11日受付
平成23年2月18日受理

キーワード

heart failure, natriuretic peptide, aldosterone

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東京慈恵会医科大学内科学講座循環器内科 吉村 道博