日本小児循環器学会雑誌  第27巻 第2号(76-87) 2011年

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著者

齋木 宏文,先崎 秀明

所属

埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科

要旨

元来,心筋の収縮拡張は負荷に依存し,負荷の変化に対する心筋挙動は心筋の特性によって変化する.小児循環器領域で扱う疾患は,この基本的心臓生理に心血管構造異常が上乗せされ,実に多様な血行動態を呈する.したがって,その治療にあたっては,血行動態を正しく把握するのが大前提であり,さらにそのうえで,その血行動態を形成する要因は何かを正しく理解しなければならない.心室圧容積関係は,小児循環器疾患の治療におけるこの基本事項を抑えるために有用かつ必須の概念であり,この概念を無視しての循環の理解は不備なものである.血管狭窄をBalloon拡大して同じ圧差の減少を得ても,血行動態の変化は一様ではない.このことが手に取るように理解できる小児循環器科医でなければならないことを,本稿で理解していただければありがたい.

キーワード

contractility, preload, afterload, diastolic

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京都府立医科大学小児疾患研究施設小児心臓血管外科 山岸 正明