日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第4号(187-196) 2011年
著者
高橋 良明1),小川 實2),松下 享3),上田 憲4),太田 文夫5),佐藤 雄一6),澤田 陽子7),奈良井 栄8),矢嶋 茂裕9),渡部 誠一10)
所属
たかはし小児科循環器科医院1),小川クリニック2),松下こどもクリニック3),うえだ小児科医院4),おおた小児科循環器科5),佐藤小児科医院6),育愛こども医院7),鳥取県立厚生病院小児科8),矢嶋小児科小児循環器クリニック9),土浦協同病院小児科10)
要旨
背景と目的:学校心臓検診の全国各地域の方法はいまだ調査されたことがなく,今回アンケート調査を行った.
方法:708都道府県市町村医師会,1,825都道府県市町村教育委員会にアンケートを郵送した.アンケートの回答が重複した地域を整理し,810市町村と23都道府県の回答を対象とした.
結果:市町村からの回答では検診施行は92%が市町村単位であった.心電図は33%の市町村で小学校4年生時も行っていた.心電図受診率は98.5%以上であった.このうち要精密検査とした生徒は,小学校1年生3~4%,中学校1年生4~5%,高校1年生6%であり,管理されている生徒は小学校1年生1.3%,中学校1年生1.5~1.6%,高校1年生1.5%であった.1次検診の検査項目は学校医診察・問診票以外に,心電図のみが66%,心電図+心音図が30%であった.1~3次検診は各自独自の方式で行われており,検診精度の検証を行っている率は17~39%であった.
結論:今後の学校心臓検診の改善には,①さらなるガイドラインの充実,②心電図解析診断ソフトの精度の向上,③有所見者の管理方法も含めたデータの集積と再検討が望まれる.
2010年3月23日受付
2011年6月3日受理
キーワード
school heart examination, ECG, whole country questionnaire survey
別刷請求先
〒520-0241 滋賀県大津市今堅田2-8-21
たかはし小児科循環器科医院 高橋 良明