日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第4号(199-205) 2011年

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著者

永沼  卓,三浦  大,玉目 琢也,知念 詩乃,松岡  恵,横山晶一郎,大木 寛生,澁谷 和彦

所属

東京都立小児総合医療センター循環器科(現 獨協医科大学越谷病院)

要旨

背景:異所性心房頻拍(ectopic atrial tachycardia: EAT)は,小児期ではKent束などの副伝導路を介する房室回帰性頻拍や房室結節回帰性頻拍などの発作性上室頻拍に次いで多い不整脈であるが,治療方針は確立していない.
方法:1985年から2008年までの間にEATと診断した患者のうち,器質的心疾患のない12例を,乳児群6例(1歳未満)と学童群(7歳以上)6例に分け,症状,検査,治療について比較検討した.
結果:有症状例は乳児群で1例(哺乳不良),学童群で3例(動悸2例,倦怠感1例)あった.心電図上の変行伝導は,乳児群では左脚ブロック型を4例,学童群では右脚ブロック型を2例に認めた.乳児群の方が学童群に比しβ遮断薬などの薬剤に対する有効例が多く(100%vs.17%,p=0.015),学童群の4例はカテーテルアブレーションを要した.
結論:EATの治療に関しては,乳児ではβ遮断薬が有効であるが学童では無効なことが多かった.

2010年11月25日受付
2011年6月13日受理

キーワード

ectopic atrial tachycardia, infant, beta-blocker, radiofrequency ablation, aberrant conduction

別刷請求先

〒343-8555 埼玉県越谷市南越谷2-1-50
獨協医科大学越谷病院小児科 永沼  卓