日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第5号(209-219) 2011年

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著者

岡田 知雄

所属

日本大学医学部小児科

要旨

メタボリックシンドローム(MetS)は今や世界中で流行するようになったが,これは肥満の増加とその病態がもたらす結果のためであると考えられている.わが国の小児においてもMetSの出現率は増加してきている.われわれの研究にて,docosahexaenoic acidの低下はstearoyl-CoA desaturase(SCD)の活性を亢進させ,MetSの構成に影響することが推測された.また,新生児におけるアディポネクチン,insulin like growth factor-1, lipoprotein lipase massを含む代謝因子やホルモンは,Light for Dates児のキャッチアップも含め,急速な体脂肪蓄積に,密接に関連することを見いだした.かような体脂肪に関する栄養プログラミングは,将来MetSへと進展し,成人期の心血管病に導く可能性が示唆された.胎児,新生児そして小児の肥満やMetSへの対応として脂肪酸栄養が大切であることがわかった.

2011年7月20日受付
2011年8月17日受理

キーワード

Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD), metabolic syndrome, body fatness, de novo lipogenesis, stearoyl-CoA desaturase (SCD)

別刷請求先

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日本大学医学部小児科 岡田 知雄