日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第5号(220-226) 2011年

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著者

小澤 有希1),村上 洋介1),鈴木 嗣敏1),江原 英治1),川平 洋一2),西垣 恭一2)

所属

大阪市立総合医療センター・小児医療センター小児循環器内科1),小児心臓血管外科2)

要旨

特発性腱索断裂による急性僧帽弁閉鎖不全は,生来健康な人に突然発症し,急激な心不全を呈する重篤な疾患である.しかし小児例の報告は少ない.症例1:5カ月男児.主訴は突然の多呼吸と,嘔吐,哺乳不良.心雑音に気づかれ,当院を受診し,特発性腱索断裂による急性僧帽弁閉鎖不全と診断された.利尿薬などの内科的治療のみで心不全は軽快し,経過観察中である.症例2:4カ月男児.主訴は突然の多呼吸と哺乳不良.チアノーゼを認めるため当院に搬送され,特発性腱索断裂による急性僧帽弁閉鎖不全と診断された.入院後,内科的に抗心不全治療を行ったが,心不全は急激に進行し,第7病日に腱索再建を,術後29日目に弁輪縫縮術を追加し,軽快退院した.調べる限り,本疾患の乳児例は,海外からは報告されていない.しかし,本邦からは2003~2010年9月に自験例を含めて39例あり,そのうち詳細な記録があった27例(月齢2~9カ月)について考察した.

2011年2月3日受付
2011年8月4日受理

キーワード

mitral valve regurgitation, chordal rupture, infant, idiopathic

別刷請求先

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大阪市立総合医療センター・小児医療センター 小澤 有希