COVID-19における全国の専門施設のアンケート調査結果

当学会では、COVID-19による診療への影響、病院における対応、また、全国の先天性心疾患の方のCOVID-19のPCR検査陽性者数や、感染者の病状についてアンケート調査を行いましたので、その結果をご報告いたします。尚、アンケート調査後に全国で感染者数が増加しているため、今後も同様のアンケート調査を行い、状況の変化についても把握し報告していく予定です。

調査期間:2020年7月16日〜7月26日
調査対象施設:日本小児循環器学会 修練施設・修練施設群内施設(143施設)
回答率:100%

●現在の診療状況について

手術およびカテーテル治療・検査は、COVID-19前の概ね何%程度ですか?(回答数 88施設)

手術およびカテーテル治療・検査 調査結果

コメント:
70%以上の施設では、COVID-19前と比べても80%以上の手術、カテーテル治療・検査が可能となっていますが、感染拡大した都心部の施設では制限を余儀なくされている状況があります。

外来の診療状況は、COVID-19前の概ね何%程度ですか? (回答数 143施設)

外来の診療状況 調査結果

コメント:
外来に関しては、約30%の施設ではCOVID-19前と「変わりない」と回答していますが、60%以上の施設では、日程変更可能な患者さんには感染のピークを避けてもらう、電話診療を活用するなどの対応をして、外来受診を⼀部制限している状況です。

●COVID-19に対する対応について

発熱者の外来受診について(複数回答可)(回答数 143施設)

COVID-19に対する対応 発熱者の外来受診について 調査結果

コメント:
多くの施設では、自施設でN95マスクなどの個人防護具(PPE)などの感染対策を行って対応可能な状況になりつつあります。

PCR検査について(複数回答可)(回答数 143施設)

COVID-19に対する対応 発熱者の外来受診について 調査結果

コメント:
アンケート結果から、自施設でPCR検査が可能な施設が90%以上に達しており、今後も増えることが予想されます。PCR検査の対象者に関しては各施設でまだばらつきが見られ、入院する患者さん全員、全身麻酔を受ける患者さん全員という施設から、その他の回答の中には、発熱している患者さんのみ、または病院の感染管理で許可が得られた場合のみ、などがありました。
一方、報道や患者さんの声からは、市中でのPCR検査体制は、おそらく自治体・保健所のキャパシティの限界により、いまだ十分に整備されていないようで、病院との乖離がうかがわれます。

●先天性心疾患の患者さんのCOVID-19の感染状況

2020年7月10日までに先天性心疾患の患者さん(成人先天性心疾患を含む、年齢問わず)で、COVID-19のPCR検査陽性者数、および重症度、重症化リスクの高い人(*下記参照︎)の数を教えて下さい。
※ 注意:7月10日時点での患者数です。

総患者数  12人   (143施設中5施設、1施設最大4人)

総数 うち重症化リスクのいずれかに該当する例
死亡 0 0
重症(ICU治療あり) 1 1
中等症(入院あり) 0 0
軽症(入院なし) 11 0
コメント:
総患者数は12名にとどまり、先天性心疾患の患者さんは感染予防を徹底されている現状がうかがわれました。重症化リスクが高いと考えられる病態の1名に重症化が見られましたが、軽症だった11名は、いずれも重症化リスクに該当しない例でした。総数が少ないですが、重症化リスクに該当しないのに重症化してしまった例、または重症化リスクがあるのに軽症で済んだ例の報告はありませんでした。

*重症化するリスクの高い心臓病

  • 複雑な先天性心疾患の方(手術前、手術後)
  • 単心室(フォンタン手術後)
  • 酸素飽和度が低い、またはチアノーゼがある
  • 心臓の力が弱っていたり、心不全がある
  • 不整脈がある
  • 肺高血圧などの肺の問題がある
  • 過去3ヶ月以内に心臓の手術を受けている
  • 先天性心疾患以外に肝臓、腎臓、内分泌などの他の疾患を患っている
  • 心臓移植を予定している人、もしくは移植を受けた人
  • ダウン症候群、22q11.2欠乏症候群、無脾症候群、多脾症候群
  • ステロイド剤や免疫抑制剤の使用など免疫力低下のある人