新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に関するQ & Aについて
2020年4月20日
日本小児循環器学会
COVID-19対策特別チーム
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が世界的に流行し、我が国における患者数も増加しています。小児の患者数も増加しており、心臓病は重症化のリスクと考えられています。当学会では小児心疾患患者さんに注意していただきたい点などに関するQ & Aを作成致しました。なお状況が時々刻々と変化しているため、これらの内容が変更される可能性もありますので、最新の情報を踏まえて御判断ください。本Q & Aも随時更新し、皆様の御参考になる様に努めてまいります。
「小児循環器学会より 新型コロナウイルスに関するQ&A(2020年4月21日現在) PDF版」
※本ページのPDF版をご覧いただけます
「小児循環器学会より 新型コロナウイルスに関するQ&Aページのお知らせ院内ポスター用(2020年4月21日現在) PDF版」
※本ページへリンクできるQRコードが掲載されたポスターです。掲示用にお使いください。
小児循環器学会からの新型コロナウイルスに関する Q&A(一般向け)
※本学会のQ&Aは先天性心疾患や子どもの心臓病の患者さんに向けた内容になります。
一般的なよくある質問、子どもに関する質問、大人の心臓病の患者向けの質問に関しては、厚生労働省や他学会のリンクを掲載していますので、そちらをご参照ください。
- Q1
- 先天性心疾患の人は特にリスクが高いのでしょうか?
新型コロナウイルスが先天性心疾患を持つ子どもや大人にどんな影響を与えるかはまだ分かっていません。ほとんどの専門病院では新型コロナウイルスにかかった先天性心疾患患者を診た経験がありません。先天性心疾患以外の心臓病のある方が新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすいと言われています。心臓病のある方の多くは、もともと心臓や肺が弱っているので、ウイルスにかかることによってより危険な状態になる可能性があります。確固たるデータはありませんが、先天性心疾患の種類によって重症化のリスクは異なると考えられます。
重症化するリスクの高い心臓病
- 複雑な先天性心疾患の方(手術前、手術後)
- 単心室(フォンタン手術後)
- 酸素飽和度が低い、またはチアノーゼがある
- 心臓の力が弱っていたり、心不全がある
- 不整脈がある
- 肺高血圧などの肺の問題がある
- 過去3ヶ月以内に心臓の手術を受けている
- 先天性心疾患以外に肝臓、腎臓、内分泌などの他の疾患を患っている
- 心臓移植を予定している人、もしくは移植を受けた人
- ダウン症候群、22q11.2欠失症候群、無脾症候群、多脾症候群
- ステロイド剤や免疫抑制剤の使用など免疫力低下のある人
- Q2
- 先天性心疾患でリスクが高い状態ですが、保育園や学校、仕事に行くべきでしょうか?
Q1の項目に当てはまる人は、特に感染者の多い地域では、たとえ体調がよくても、可能な限り仕事や学校には行かないことをおすすめします。
3月2日から実施された全国の小中高校の臨時休校が終了し、通常の登校が再開されている地域があります。また、保育園や幼稚園は休園の対象とならず、年齢ごとで対応が分かれました。この期間で就学前の乳幼児の新型コロナウイルスの感染者数が増加したとの明らかな報告はありません。もちろん、お子さんにとって学校生活は心身の発達にとって重要な役割を果たします。原則として、お住まいの地域の指示に従っていただくことをお勧めしますが、地域で子どもの感染者が発生した場合などは、ご家族のお考え、場合により主治医の意見を参考に登校の可否を判断してください。
学校対応などについては文部科学省のHPをご確認ください。
文部科学省 新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index.html
小児科学会でも登校や友達との遊び方などに関する情報を提供しています。
日本小児科学会 新型コロナウイルス感染症に関するQ&Aについて
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326
- Q3
- 先天性心疾患で定期的に外来通院していますが、通常どおり受診したほうがよいですか?
地域の状況によって異なりますが、受診によって患者さん自身が感染するリスクがあります。ただし、受診せずに薬を中断することは、命にかかわる場合があるため絶対にしないでください。一部の薬(ワーファリンなど)は血液検査が必要なため受診が必要ですが、状態が安定していれば病院によっては電話での再診で処方が継続できる場合もあります。受診や検査を延期できるのか、通院している医療機関(主治医)にご相談ください。
- Q4
- 先天性心疾患があり治療や手術が予定されていましたが、延期になって不安です。
早めにしてもらうことはできないでしょうか?
早めにしてもらうことはできないでしょうか?
心臓手術は術後にICUでの治療が欠かせませんが、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)が必要な重症の新型コロナウイルス感染症の患者さんもICUで治療します。感染予防の観点から、手術を延期したほうが安全に手術を行えると判断した場合は手術日程が延期になります。主治医からそのような連絡を受けた場合には、それに従っていただくのが安全です。ただし、緊急で手術が必要な場合もあるため、当学会では全国各地の手術実施医療機関の責任医師による各施設の情報共有を開始し、必要な手術が延期されないように最小限とするため連携して参ります。延期しても状態が大きく変わらない患者さんに関しては延期をお願いする場合があります。治療や手術の延期についてご不安がある場合は、必ず主治医にご相談ください。
- Q5
- 先天性心疾患の治療に使用している人工物(ペースメーカー、心臓弁、ステント、人工血管など)は新型コロナウイルスに感染しますか?
いいえ。新型コロナウイルスは心臓の治療に使用しているどのような人工物にも感染しません。
- Q6
- 先天性心疾患児のきょうだいや家族が新型コロナウイルスに感染してしまった場合はどうすればよいでしょうか?
感染が疑われる方がいる場合の家庭内での注意事項などは下記のリンクをご確認ください。
すべて完全に実施することは難しいと思いますが、できる限り感染予防に努めて下さい。
厚生労働省
「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合 家庭内でご注意いただきたいこと ~8つのポイント~」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf
- Q7
- 若くして新型コロナウイルス感染症により亡くなった方の中に、先天性心疾患患者さんはいますか?
その方はどのような疾患をお持ちでしたか?
その方はどのような疾患をお持ちでしたか?
2020年4月現在、世界の文献を調べても明らかな報告はありません。当学会としても、正式な情報は未だ把握できておりません。今後、各施設からの報告をもとに、患者様に情報提供ができるように努めてまいります。しかし、報告がないからといって安心できるわけではなく、社会および医療の混乱によって情報を集計できていない可能性も考えられます。特にQ1の回答に挙げられている重症化するリスクの高い患者さんは、ご自身でできる最大限の感染予防行動を取り、身を守ってください。
下記の質問に対する回答はリンク先をご覧ください(2020年4月20日現在)
内容は状況によって随時変更される可能性があります。必ず最新の情報をご確認ください
厚生労働省
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)(一部を抜粋)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/
dengue_fever_qa_00001.html
- 「新型コロナウイルス」とはどのようなウイルスですか?
- 新型コロナウイルス感染症にはどのように感染しますか?
- 新型コロナウイルス感染症で治療を受けた場合、治癒したと判断されるのはどういう場合ですか。また、新型コロナウイルスに効く薬はまだないのに、どうして治癒するのでしょうか。
- アビガンという薬が新型コロナウイルス感染症に効くとの報道がありました。どこで処方してもらえますか。
- 感染を予防するために注意することはありますか。必要な場合には、どのように対応すればよいでしょうか。
- 電話はオンラインによる診断や処方を受けたいのですが、どうしたら受けられますか。
- 妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合、どのような症状や胎児への影響がありますか。
- 緊急以外の手術の延期など、コロナウイルス以外の病気での受診にしわ寄せが生じているのではないですか?
日本小児科学会 https://www.jpeds.or.jp/
「新型コロナウイルス感染症に関するQ&Aについて」(一部を抜粋)
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326
- 子どもが新型コロナウイルスに感染するとどのような症状がでますか?
- 子どもの新型コロナウイルス感染症は重症化しますか?
- 小児ぜんそくなどの合併症を持っている子どもに関して特に注意すべきことはありますか?
- 母乳はやめておいたほうがいいですか?
- 子どももマスクはしておいたほうがいいですか?マスクが出来ない場合はどうしたらいいですか?
- 病院における面会は全面的に禁止したほうが良いですか?
- 保育園、幼稚園、学校などに行くことは控えたほうが良いでしょうか?
- 学校が休校となりましたが、子どもは外出や友達と遊ぶことを避けたほうが良いでしょうか?
- 乳幼児健診や予防接種を遅らせたほうが良いですか?
日本循環器学会 https://www.j-circ.or.jp/
新型コロナウイルスに関するQ&A(心臓病患者さん向け)PDF(一部を抜粋)
※ 大人の心臓病の患者さん向けの内容です。
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS_COVID19_QA.pdf
- 心臓病患者は心臓病を持たない人よりも新型コロナウイルス感染症にかかるリスクが高いですか?
- 新型コロナウイルス感染症の重篤な症状を発症するリスクは、心臓病を持つすべての患者に同じようなものなのか、それとも違いがあるでしょうか?
- 新型コロナウイルスが心臓発作や不整脈を起こすと聞きましたが、本当でしょうか?
- 新型コロナウイルが心筋炎や心膜炎を誘発する可能性があると聞きました。過去に心筋炎・心膜炎を起こしたことがある場合、2回目の発症もしやすいのでしょうか?
- 心臓病のある人は、ない人よりも新型コロナウイルスで死亡する可能性が高いですか?
- ニュースによると、新型コロナウイルスの影響を最も受けやすいのは、高齢者と持病のある人たちとのことです。持病があれば、どの年齢でも影響を受けやすいのでしょうか?
- 感染していると思っても、すぐに病院に行ってはいけないことはわかっていますが、心臓病がある場合はいつ受診すればいいのでしょうか?
- 心臓病があるのですが、感染予防のための追加の対策はありますか?
- 心臓の薬の服用量は変更したほうがよいのでしょうか?
- これから薬が不足することはありますか?
- 通院は継続したほうがよいでしょうか?それとも、病院に行くのは避けたほうがよいでしょうか?
日本成人先天性心疾患学会 http://www.jsachd.org/
– 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策-成人先天性心疾患をもつ患者さんへの提言(第1報)- PDF(一部を抜粋)
http://www.jsachd.org/pdf/covid-200416.pdf
- 先天性心疾患患者が新型コロナウイルス感染に特に注意すべき理由と特に注意が必要な疾患とは?
- 成人先天性心疾患患者が新型コロナウイルスに感染する機会を減らすには、どうすればいいでしょうか?
- 成人先天性心疾患患者が自宅待機を続ける場合、なにを注意すればいいでしょうか?
- 新型コロナウイルス感染症を疑う症状で自分もしくは同居する家族にみられた場合はどうしたらいいでしょうか?