「5~11歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」(2022年2月9日更新、2月15日更新)
日本において、新型コロナウイルスワクチン接種が5~11歳の小児にまで拡大されたことを受けて、日本小児科学会、日本小児科医会が共同でワクチン接種に対する考え方を発表しました。
- 日本小児科学会 https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=404
※ 1月19日公開、3月16日に改定、3月28日に一部修正されています - 日本小児科医会 https://www.jpa-web.org/blog/uncategorized/a275
日本小児循環器学会として、先天性心疾患やその他の心臓病を基礎疾患として有するお子さんは、疾患や病態の重症度が様々であり、個別性が非常に高いため、個々に主治医(小児科医ないし当学会員医師)とよく相談していただくことをお勧めします。
いまだ確固たるエビデンスはありませんが、新型コロナウイルスに感染した場合に重症化する可能性があると考えられる下記11項目に当てはまる5~11歳のお子さんについては、特に本人の病態や病状をよく把握している主治医に、接種方法、接種後の体調管理や副反応に対する対応などを含めて事前によく相談して下さい。
引き続き、学会として新型コロナウイルスの感染状況、新型コロナワクチンに関連する最新情報を積極的に収集し、最大限の情報を提供してまいります。
<重症化するリスクが高いと考えられる心臓病>
- 複雑な先天性心疾患の方(手術前、手術後)
- 単心室(フォンタン手術後)
- 酸素飽和度が低い、またはチアノーゼがある
- 心臓の力が弱っていたり、心不全がある
- 不整脈がある
- 肺高血圧などの肺の問題がある
- 過去3ヶ月以内に心臓の手術を受けている
- 先天性心疾患以外に肝臓、腎臓、内分泌などの他の疾患を患っている
- 心臓移植を予定している人、もしくは移植を受けた人
- ダウン症候群、22q11.2欠失症候群、無脾症候群、多脾症候群
- ステロイド剤や免疫抑制剤の使用など免疫力低下のある人
- 厚労省からの新型コロナワクチン接種についてのお知らせ(2022年2月15日掲載)
- コミナティを接種されるお子さまと保護者の方へ(2022年2月15日掲載)
- 新型コロナワクチン接種を検討されているお子さまの保護者の方へ(2022年2月15日掲載)
新型コロナウイルスワクチン接種に対する考え方(2021年6月21日)
日本において、新型コロナウイルスワクチン接種が12歳以上の小児にまで拡大されたことを受けて、日本小児科学会、日本小児科医会が共同でワクチン接種に対する考え方を発表しました。
当学会でも、基本的な考え方は同じです。最新情報は随時HP上で更新してまいりますので、ご覧いただければ幸いです。小児循環器疾患は個別性が高いので、個別の症状、診断、治療等についての相談を、学会としてお受けすることはできませんが、それぞれ主治医とよく相談していただくことを学会としてお勧めしています。
日本小児科学会:新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20210616__corona.pdf
日本小児科医会:12歳以上の小児への新型コロナウイルスワクチン接種についての提言
https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/Recommendation.21-06-16.pdf
新型コロナウイルスワクチン接種について
なるべく多くの方が受けたほうが、集団免疫の成立により感染者数が減少し、感染収束を早期に実現させやすいため、ワクチン接種を積極的におすすめします。特に重症化が予測される基礎疾患のある方は、積極的に受けましょう。
ワクチン接種をしないほうがよいのは、過去にワクチン接種でアナフィラキシー反応(短時間で全身に激しい症状が出るアレルギー反応のひとつ。全身にかゆみやじんましんが出る、喘息や呼吸困難になるなどの症状)が出たことがのある方です。アナフィラキシー反応はワクチンの主成分ではなく添加物に対する反応であり、コロナワクチンでも同様の添加物への反応が予想されるためです。
明らかに発熱している時(基本的に37.5℃以上)や、急性疾患治療中は、ワクチン接種はできませんが、治癒した後に受けることができます。
重い副反応が起こることはまれです。一方、軽い副反応はよく起こります。重い副反応であるアナフィラキシー反応は、ワクチンを打って15〜30分以内に起きることがほとんどです。接種した場所で15〜30分ほど様子を見ることになっているため、それに従いましょう。
軽い副反応として、疼痛、発熱、頭痛、腹痛、けん怠感などはよく起こります。 1回目は接種後1〜2日間、2回目のほうが起こりやすく、接種後2〜3日間起こります。軽い副反応の症状に対して、鎮痛・解熱薬(市販薬でもかまいません)を内服して問題ありません。
よくある副反応ではない、胸痛、動悸、呼吸苦などの症状や、鎮痛・解熱薬でもよくならない強い症状、接種後3〜4日過ぎても症状がよくならない場合には、主治医やかかりつけ医に連絡して、診察してもらいましょう。
抗血栓・抗凝固薬服用中の方は、筋肉注射で内出血するかもしれません。接種後様子を見ている間は接種部位はもまずに、しっかり押さえておきましょう。