日本小児循環器学会雑誌 第24巻 第1号（35-43） 2008年
著者
都築 慶光1），武半 優子1），熊井 俊夫1），松本 直樹1），麻生健太郎2），村野浩太郎2），水野 将徳2），小林 真一1）
所属
聖マリアンナ医科大学薬理学1），小児科学2）
要旨
背景：出生前グルココルチコイド（GC）投与が胎児および新生児の心臓関連蛋白にどのような影響をもたらすかを検討した．
方法：妊娠ラットにデキサメサゾン（DEX）を投与後，胎生19日，21日（胎児）群および日齢 1 日，3 日，5 日（新生児）群の心臓組織を二次元電気泳動し，胎児のDEX投与群で蛋白発現が増強したスポットを質量解析で同定した．同定した蛋白のなかで，troponin Tの蛋白発現をウエスタンブロット法と免疫組織染色で検討した．
結果：溶媒群のtroponin T発現は日齢 1 日群と比較して胎生19日群，21日群が有意に低値を示したが，DEXにより用量相関的に増加した．さらにtroponin Tの発現は 5 日齢の溶媒群とほぼ同等まで増強した．胎児群においてtroponin T発現を誘導する転写因子GATA-4の発現も，DEXにより増強した．
結論：出生前GC投与は胎児心臓でtroponin Tを増加し，未成熟な胎児心筋の発達に寄与することが示唆された．
平成19年9月21日受付
平成19年11月7日受理
キーワード
glucocorticoid，troponin T，GATA-4，fetus, proteomics
別冊請求先
〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生 2-16-1
聖マリアンナ医科大学薬理学 都築 慶光