日本小児循環器学会雑誌 第26巻 第2号(176-179) 2010年
著者
富田 英1),上村 茂1),羽根田 紀幸2),曽我 恭司3),,松岡 孝3),澤田 まどか3),西岡 貴弘3),畠山 欣也4),,高室 基樹4)
所属
昭和大学横浜市北部病院循環器センター1),島根難病研究所小児循環器班2),昭和大学横浜市北部病院こどもセンター3),北海道立子ども総合医療・療育センター循環器科4)
要旨
背景:わが国では乳児期早期の動脈管開存は外科治療の適応とされることが多い.
目的:本研究の目的は6カ月以内の動脈管開存におけるコイル閉鎖術の成績を検討することである.
対象と方法:対象は富田または羽根田がコイル閉鎖術を試みた動脈管開存 16例で,月齢(中央値,以下同)は3.9カ月,体重は5.0 kg,動脈管開存の最小径は3.3 mmでtype A 11例,C,E各2例,Bが1例であった.肺体血流量比は2.4で,9例は肺高血圧を合併していた.5例は0.052 インチ Gianturcoコイル(052)導入前,11例は導入後の症例で,adverse eventsに関与する因子として月齢,体重,動脈管の最小径,形態分類,術者,コイル閉鎖術の施行時期(052導入前後),052使用の有無について検討した.
結果:Major adverse eventsは3例,minor adverse eventsは2例に認めた.major adverse events以外の13例では完全閉鎖し,臨床的成功率は81%であった.最小径3.5 mm未満の9例では1例でminor adverse eventを認めるのみであったが,3.5 mm以上の7例では3例でmajor adverse events,1例でminor adverse eventを伴っていた.
考察と結語:6カ月以下でも3.5 mm未満ではコイル閉鎖の可能性があるが,3.5 mm以上は現状では外科治療を優先すべきと考えられる.
全文平成21年8月3日受付
平成21年12月1日受理
キーワード
patent ductus arteriosus,coil occlusion,infant,Amplatzer duct occluder
別冊請求先
〒224-8503 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎中央 35-1 昭和大学横浜市北部病院循環器センター 富田 英