日本小児循環器学会雑誌 第26巻 第2号(187-190) 2010年
著者
山本 浩一,本村 秀樹,森内 浩幸
所属
長崎大学病院小児科
要旨
症例は単心室に対し肺動脈絞扼術,両方向性Glenn手術の段階手術を経て4歳時に心外導管型上下大静脈肺動脈吻合術(extra cardiac TCPC)を施行された女児である.以後抗凝固療法を継続し,運動時倦怠感を感じる以外は循環器系に大きな問題はなかった.10歳時に再評価を行ったところ,血液検査で肝逸脱酵素の上昇はなかったが,造影CT検査では肝臓の造影効果がまだらで,複数の過形成結節と思われる病変が認められた.脾臓腫大も認め,うっ血性肝障害が示唆された.中心静脈圧は14 mmHgでFontan循環としてやや高値であったが,造影検査上グラフト前後の血流うっ滞は著明でなく,血栓も認めなかった.右心バイパス手術後はTCPC例においても遠隔期での肝臓障害を念頭に置いて経過を追う必要があると思われた.
平成20年10月6日受付
平成21年12月1日受理
キーワード
single ventricle,total cavopulmonary connection (TCPC),congestive liver injury
別冊請求先
〒857-4404 長崎県南松浦郡新上五島町青方郷 1549-11 上五島病院 山本 浩一