日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第1号(35-42) 2011年
著者
北爪 勉1),鈴木 淳子1),武村 濃2),園部 友良3),土屋 恵司3)
所属
東京逓信病院小児科1),放射線科2),日赤医療センター3)
要旨
目的:冠動脈横断面を描出する最新のMRI撮像法を用いて,川崎病で冠動脈拡大を来さなかった“正常冠動脈”,“瘤の退縮”や“一過性拡大”部位の冠動脈壁厚を計測し内膜肥厚の有無を検討した.
方法:使用装置はPhilips社製Gyroscan Intera 1.5T Master R9.シーケンスは2D black-blood-spiral k-space order TFE法を使用し,血管壁を横断面で描出した.測定部位は右冠動脈近位部,左冠動脈主幹部,左前下行枝近位部とした.
対象:川崎病既往の65例(検査時年齢は11カ月~29歳10カ月:中央値5歳3カ月),“正常冠動脈:78カ所”,“退縮:46カ所”,“一過性拡大:15カ所”を計測した.
結果:正常冠動脈壁は14歳以上で9カ所(9/13)が描出されたが14歳未満では描出例がなかった(0/65).退縮では46カ所中26カ所(56.5%)で描出され,14歳未満でも38カ所中18個所(47.4%)が描出された.これは正常冠動脈の描出率と比較して有意差が認められた(p<0.01).一過性拡大も14歳未満において3カ所(3/11)で描出された.
結論:退縮部位や一過性拡大がみられた部位に,軽度の内膜肥厚を認めた.
平成22年4月9日受付
平成22年12月1日受理
キーワード
Kawasaki disease,magnetic resonance coronary angiography,spiral-black blood method,arterial wall thickness,regressed of coronary aneurysm
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