日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第4号(168-175) 2011年

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著者

小出 昌秋1),森  善樹2),渡邊 一正1),中嶌 八隅2), 武田  紹2),新垣 正美1),國井 佳文1)

所属

聖隷浜松病院心臓血管外科1),小児循環器科2)

要旨

背景:リアルタイム三次元心エコー法(RT3DE)が先天性心疾患の評価に有用であるとの報告がされている.しかし手術室でRT3DEを使用しその有用性を検討した報告は少ない.
目的:術中の心外膜アプローチによるRT3DEと従来の二次元心エコー法(2DE)を比較し,その有用性を検討した.
方法:対象は心内修復術目的で入院した先天性心疾患児30例で,年齢は中央値で1歳4カ月.開心術時胸骨正中切開後に心外膜アプローチからのRT3DEを施行し,手術所見を基本に術前の2DEと比較した.RT3DEの評価は,Aランク:2DEでは誤診しRT3DEでのみ正確な診断,または2DE診断と同様であったがRT3DEで付加情報,新しい所見があった,Bランク:2DEとまったく同等,Cランク: 2DEのほうが有用であった,の3段階評価で行った.
結果:30例中,RT3DE診断が可能だったのは26例であった.Aランクが22例,Bランク4例,Cランク0例であった.特に房室弁の評価,中隔欠損の部位,広がり,近接構造の空間的な関係把握にRT3DEは有用であった.
結語:RT3DEは房室弁の形態,中隔欠損の広がりなど,2DE以上の情報を提供し,手術室でのRT3DEの使用は診断と術式の最終確認,術者同士の情報の共有などに有用である.

2010年10月15日受付
2011年4月6日受理

キーワード

epicardial echocardiography, real-time 3-dimensional echocardiography, intraoperative diagnosis

別刷請求先

〒430-8558 静岡県浜松市中区住吉2-12-12
聖隸浜松病院小児循環器科 森  善樹