日本小児循環器学会雑誌 第27巻 第6号(253-256) 2011年

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著者

高橋  啓1),鈴木 和男2),佐地  勉3)

所属

東邦大学医療センター大橋病院病理診断科1),千葉大学大学院医学研究院免疫発生学・炎症制御学2),東邦大学医療センター大森病院小児科3)

要旨

2011年5月に開催されたChapel Hill Consensus Conference on Vasculitis Nomenclature 2011会議の経緯についての報告である.本会議の中で人名の付いた疾患名を病因,病態に基づく疾患名へと変更することについての提案があった.血管炎には人名がつけられた疾患が多く,日本人の名前が冠せられた川崎病,高安動脈炎の名称も変更される可能性が生じた.これに対し,病因も病態の詳細も明らかでない川崎病,高安動脈炎についてこれらに代わる適当な名称をつけることは困難である.両疾患名は既に世界中で認知され呼称されている.両疾患を専門とする研究者が参加しない場で名称変更しても川崎病,高安動脈炎研究者の理解は到底得られないことを主張した.その結果,両疾患名はそのまま残される見通しとなった.しかし,名称変更の動きは今後も継続することが予測され,わが国の血管炎研究者は本問題にいかに対応すべきか考慮しておく必要があると思われた.

2011年9月15日受付
2011年10月11日受理

キーワード

Chapel Hill Consensus Conference, Nomenclature of vasculitis, eponym, Kawasaki disease, Takayasu arteritis

別刷請求先

〒153-8515 東京都目黒区大橋2-17-6
東邦大学医療センター大橋病院病理診断科 高橋  啓