日本小児循環器学会理事長 山岸敬幸
専門医制度認定委員長 増谷 聡
2024年9月12日

・専門医制度の開始について

2024年8月下旬現在、小児循環器学会の「小児循環器専門医」は、日本専門医機構(以下、機構)に正式に認定されていませんが、「サブスぺシャルティ領域・カテゴリ1」の認定に着実に向かっていますので、2025年4月1日より新しい専門医制度(以下、新制度)の運用開始を予定しています。

しばらくは今までの専門医制度(以下、旧制度)を並行して運用し、2032年3月末までで旧制度は終了します。2025年度(2025年4月)以降に新たに小児循環器の専攻研修を開始する場合は、新制度のみの運用になります。新制度には研修開始届が必要になるため、新制度で受験するか旧制度で受験するかを決めかねている方、わからない方は、ひとまず全員、研修開始届をご提出ください。研修開始届の提出方法については追ってご案内しますが、研修機関での上長(になる方)と相談の上、ご提出ください。専門医試験は旧制度・新制度を問わず、同一内容で実施します。
並行期間終了後(2032年4月以降)は、「小児循環器専門医」は機構認定(新制度)のみに一本化されます。この新制度の「小児循環器専門医」の基本領域は「小児科専門医」のみになります。

新制度には、機構認定の専門医になるための改訂が含まれています。まだ機構認定となったわけではありませんが(小児循環器領域:申請中)、以下をご参照ください。

新しい専門医制度の整備基準(専門医施行細則の2ページ目以降)
https://jspccs.jp/wp-content/uploads/senmoni-husoku-new-2024.pdf

カリキュラム
https://jspccs.jp/wp-content/uploads/new_specialist_caricuram.pdf

これらは日本専門医機構の審査の進捗によって、改訂される可能性があります。その場合は順次HPに情報を更新していきますので、最新の情報をご参照ください。

・専門医制度と旧・専門医制度の異同について

制度移行が円滑に進むように制度設計を試みました。

1.用語の変更点

用語の変更はありますが、基本骨格は変わっていません。指導医を定義する必要があるため、専門医を一回以上更新した者と定義しました。少し区別して、指導者は専門医としました。

旧制度新制度
修練施設(単独)
 修練施設群の中心施設
研修施設、基幹施設
修練施設群の中心施設(研修施設群の)基幹施設
中心施設以外の修練施設群の施設(研修施設群の)連携施設
修練施設群研修施設群
修練研修
修練医専攻医
 指導医:専門医を一回以上更新した者
 指導者:専門医

2.研修期間の変更点

最短で医師8年目に「小児循環器専門医試験」を受験できることは結果として変わりありません。
しかし、以下のように考え方に変更があります。

旧制度新制度
5年の修練期間2年の研修期間
最長2年まで、条件付きで小児科専攻医の期間を修練期間に含めることができる連動研修を行わない
=小児科専攻医期間との重複を認めない
条件付きで修練期間の最終年に専門医試験を受験可能研修期間の終了後に専門医試験を受験可能
医師8年目に小児循環器専門医試験を受験できる同左
小児循環器学会会員である期間以外は修練期間とすることができない研修期間に小児循環器学会会員であることは必須ではない

3.カリキュラムの変更点

カリキュラムは、これまでの内容を吟味して、2023年に体裁を整えました。
https://jspccs.jp/wp-content/uploads/new_specialist_caricuram.pdf
に示します。新制度での研修開始は2025年度から、新制度での受験は2027年度から開始になりますが、申請にあたっては新制度でのカリキュラムの履修と定められた書類の提出が必要となります。詳細はカリキュラムを最後までご覧いただきたいと思いますが、以下に要約します。下線部が変更点で、新たに加わる提出物として、「60症例の経験リスト」があります。30症例の症例要約はこれまでと同様です。経験には1年間の上限数が定められています。

新制度では、

  1. A, B項目のおよそ80%以上を達成していること。疾患の経験においては、①遺伝性および後天性心疾患、②不整脈(イオンチャンネル病を含む)、③新生児、④成人先天性心疾患、⑤周術期管理、⑥その他の疾患群から、それぞれ最低2例を含む計60症例以上を小児循環器担当医として経験していること。検査は、心エコー100例、心臓カテーテル30例、運動負荷試験5例、ホルター心電図5例を経験していること。
  2. 小児循環器担当医として、1)の60症例の経験リストのうち30症例は症例要約を作成して評価を受ける。(小児循環器担当医とは中心となって診療を行った専攻医のことである。) 症例要約には上記の6疾患群から、それぞれ最低2例を含むこと。

経験症例は1年間の40例の申請、症例要約は20例の要約作成を上限とする。

4.更新の変更点

専門医の更新は、段階的に新制度での更新に移行していきます。詳細は別途ご案内します。