日本小児循環器学会理事長
山岸敬幸
(2022年11月15日)

『学会の理念を胸に Academic & Social』

 今期理事会も早2年目に入りました。ウクライナ情勢は依然解決なく、COVID-19第7波は収束したものの冬にはインフルエンザとの同時流行が懸念され、社会的には円安、物価高と、相変わらず国内外の不安の中、学会員の皆様には、日夜心臓病の患者さん、ご家族のためにご尽力いただき、そして学会活動にも活発にご参加いただき、誠にありがとうございます。そのような情勢の中でも、3年ぶりに学術集会・総会を対面で開催できたことは、やはり学会として今年最大の出来事の一つと思います。参加者の皆さんが対面開催の素晴らしさ、”Academic & Social”を改めて実感した学術集会になったのではないでしょうか。今号では土井庄三郎会長からご報告をいただき、そして来年の鈴木孝明会長にバトンが引き継がれます。
 また、(一般の方へ)「先天性心疾患・子どもの心臓病の解説サイト」が遂に完成し、公開されました。本ニュースレターに紹介されています通り、制作者の気持ちのこもった優しくわかりやすいページを見ていただけると思います。お子さんの病気に対する正しい理解は、ご家族にとってとても重要です。そして移行医療では、患者さんご本人がご自身の病態を理解することも大切です。ぜひ患者さん・ご家族にご紹介いただき、学会としてもこのサイトを継続的に温かく育てていきたいと考えています。会員の皆様のご意見も歓迎致します。

 今年の評議員会、総会では、次世代エリア担当の「次世代育成・働き方改革をふまえた、わが国の小児心臓血管外科手術成績を維持する医療体制整備のための提言」、専門医エリア担当の「小児循環器専門医の拡充と専門医機構認定」、学術誌エリア担当の「学会誌の更なる充実と英文誌のインパクトファクター獲得への挑戦」についても触れました。今号では芳村直樹先生に、今後の医療体制整備のための礎となる科学論文をご紹介いただいています。また、専門医育成・生涯教育には益々力を入れています。内科系セミナーは定期的に開催され、年々質が向上しています。外科系セミナーの参加者も急増し、専門医単位の付与が理事会で認められました。多領域ウェビナーも軌道に乗り、オンライン教育コンテンツの配信準備も進めたいと考えております。COVID-19禍から私たちが得た学習法が、定着しています。学会英文誌Journal of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgeryがインパクトファクターを獲得するための道のりは、遠く険しいです。理事会および学術誌エリア(IF獲得準備委員会)では、あの手この手を考えていますが、まずは会員、特に評議員の皆様には、学会英文誌に積極的に投稿して盛り上げていただくことを、切にお願いする次第です。
 そして、この度、理事会で「日本小児循環器学会の理念」を作成しました。理念に基づく責任ある学会活動が求められる昨今です。皆様の”Academic & Social”を実現する学会運営を目指して、今期も邁進します。